AIアシスタントは何でも少しずつ知っています。でも、あなたの会社のレポートのひな形も、ブランドの色も、あるファイル形式を正しく扱うコツも知りません。毎回の会話で長々と説明する代わりに、一度まとめておいて、エージェントに「必要なときに使って」と言えたらどうでしょう。「スキル」(技能)はまさにその発想です。
要するに、フォルダとSKILL.md
Anthropicの定義では、Agent SkillsはClaudeの能力を拡張するモジュール式のパッケージです。それぞれのスキルは、指示、メタデータ、任意のリソース(スクリプトやテンプレート)をひとまとめにしていて、Claudeは関連があるときに自動でそれを使います。Anthropicのエンジニアリングブログはさらにシンプルに表現しています。スキルとは、エージェントが特定の仕事をうまくこなすために必要なときに読み込む、「整理された指示、スクリプト、リソースのフォルダ」だというのです。
技術的には、スキルとは少なくともSKILL.mdというファイルが入ったフォルダです。このファイルの冒頭にはYAML形式の必須項目が2つあります。name(名前)とdescription(説明)です。その下には、プレーンなMarkdownで書かれた指示が続きます。フォルダにはお好みで、scripts/(実行できるコード)、references/(追加ドキュメント)、assets/(テンプレート、画像、データ)といったサブフォルダを足せます。
Anthropicはこの構造を、新入社員向けのオンボーディングガイドにたとえています。ガイドを机の上に置いておけば、社員は必要になったときに開いて確認する、というわけです。
秘密: すべてを一度に読み込まない
スキルを単なる長いプロンプトと分けているのは、「段階的開示」(プログレッシブ・ディスクロージャー)と呼ばれる設計です。Claudeのドキュメントによれば、内容は3つの層で読み込まれます。
| 層 | いつ読み込まれる? |
|---|---|
| 1. メタデータ(名前と説明) | 常に、起動時に(スキル1つあたり約100トークン) |
| 2. SKILL.mdの本文 | スキルが起動したとき(5,000トークン未満が推奨) |
| 3. 追加ファイルとスクリプト | 必要なときだけ。スクリプトは出力だけがコンテキストに入る |
おかげで、エージェントに何十ものスキルを入れておいても、コンテキストウィンドウが埋まることはありません。起動するまでは、各スキルの名前と説明だけが「机の上」にあります。ドキュメントの例では、PDFスキルはフォーム入力の手順を別のforms.mdファイルに置いていて、Claudeはほんとうにフォームに入力するときだけそのファイルを読みます。
プロンプト、MCP、プラグイン: 何が違う?
これらの概念はよく混同されます。どれも「エージェントをより良くする」ためのものだからです。Claudeヘルプセンターの区別は、次のようにまとめられます。
- プロンプトやカスタム指示: 毎回の会話、またはすべての会話に適用される全般的な方針です。スキルはタスク専用で、関連があるときだけ働きます。
- プロジェクト: プロジェクト内の会話で常に読み込まれている固定の背景情報です。スキルは、必要なときに開かれる手順です。
- MCP(Model Context Protocol)コネクタ: Claudeを外部のサービスやデータソースにつなぎます。つまり「アクセス」を与えます。スキルは、そのアクセスをどう使うかという「やり方の知識」です。ヘルプセンターは、この2つがよく一緒に使われると述べています。
- プラグイン: Claude CodeとCowork側では、プラグインは複数の部品(スキル、コネクタ、コマンド、サブエージェント)をまとめて配布するためのパッケージです。OpenAIのドキュメントも似た区別をしています。スキルは書き方の形式で、プラグインは配布の形だというわけです。
まとめると、MCPはエージェントに手を与え、スキルはその手に技能を教え、プラグインはそれらを1つの箱に入れて届けます。
どこで動く?
Claudeのドキュメントによれば、2026年10月時点でスキルは、Claudeアプリ(claude.ai)、Claude Code、そしてコード実行ツールと組み合わせたClaude APIで使えます。ヘルプセンターは、スキルがFree、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで提供されていて、コード実行機能がオンになっている必要があると説明しています。
大事なポイントがあります。カスタムスキルは、サービスをまたいで同期されません。claude.aiにアップロードしたスキルは、あなたのアカウント専用です。APIにアップロードしたスキルは、ワークスペース全体で共有されます。Claude Codeでは、個人用(~/.claude/skills/)かプロジェクトフォルダ(.claude/skills/)に置きます。
セキュリティの面もあります。スキルはコードを実行できるため、ドキュメントは「ソフトウェアをインストールするのと同じように」扱い、信頼できる提供元のものだけを使うよう勧めています。この点は、シリーズの最後の記事で改めて取り上げます。
このセクションの次の記事では、自分のスキルを一歩ずつ書く方法と、実在して役に立つスキルをカテゴリごとに見ていきます。
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